武田薬品工業の実験動物焼却炉

住民への説明が不充分

 大船から藤沢に向かうJR東海道線の車窓から、右手に大型クレーンが林立する光景が見えます。武田薬品工業新研究所の建設現場です。ようやく身近で起きている危機に気付き始めた人が増えてきました。この研究所は、鳥インフルエンザ菌などの感染性病原体も扱うことができるP3施設を備えています。ネット鎌倉は今年2月、遺伝子組換え施設の届出義務や説明会実施、協定締結、事故の報告義務等を盛り込んだ環境安全の確保に関する条例を市議会に議員提案しましたが、残念ながら委員会で継続になってしまいました。

 武田薬品工業の敷地内に実験動物の焼却炉を建設する計画があり、武田からの情報発信が不充分なため地域住民に不安が募っています。日量1.8トンの実験動物を焼却できる機能を持つとのことで、住宅や病院・高齢者施設・保育園が近くにあることから、適正な処理業者に委託すべきとネットは以前から提案していました。今12月議会に、実験動物焼却施設の安全措置を求める陳情が出されました。住民に充分説明するよう市が武田に働きかけてほしいというものです。まず、私が所属する観光厚生常任委員会で審査しました。市が前向きな姿勢を見せたことで、鎌倉みらいと公明党の反対があったものの、ほか4名は賛成し、本会議でも賛成多数で採択されました。

 「誠実な企業活動によって『くすりづくり』の王道を歩み社会に貢献する」というのが武田薬品の基本理念であるのなら、企業としての説明責任を果たし、住民協定を結ぶなどの誠意ある対応が必要だと思います。また行政は、市民が安心して安全に暮らせるよう、自治体の法律である条例をつくるなどの法的整備をすることが必要です。これからも予防原則の視点で、危機管理体制の充実に取り組みます。