政策創造担当いわゆるシンクタンクは必要か

国土交通省から部長職を採用

 シンクタンクを設置した多くの自治体では、設置はしたものの課題の抽出が出来ないで困っているなどの失敗例が多く見られ、設置については慎重にすべきというのが、これまでの鎌倉市経営企画部の考えでした。

 ところが、経営企画の制度疲労を起こしていることが背景にあるということで、2011年度予算で政策創造担当の設置のために808万8000円が計上されました。人口動態や少子高齢化を見据えた長期的な市政運営と、喫緊の課題解決のためとの理由ですが、喫緊の課題は何であるかも明らかにされず、設置目的が不明確です。構成メンバーは職員4名と、外部の専門員3名ということですが、人数の根拠も明らかではありません。

 埼玉県戸田市では、政策研究機関を設置して成功している自治体です。ここでは現場の課題解決のために、ボトムアップ形式で設置に至っています。外部の専門員には牧瀬稔さんを招き、ご意見をいただいているそうです。牧瀬先生の言われるには、経営企画の機能疲労を理由に設置することが最も失敗の危険があると話されています。

 鎌倉市では現場の部局から要請があったわけでもなく、これまでの検討経緯から成功が危ぶまれます。その政策創造担当の部長として、市はこの度、新人事で前国土交通省海事局船舶産業課舟艇室長を採用しました。略歴では、主に海に関わる役職を歴任されています。少子高齢化が顕著な鎌倉市では、福祉・子育て始め、ごみ問題や防災・緑保全など、課題は山積みです。バランスの取れた政策立案が求められます。