天下り人事に反対

市長は国の言われるままに

 9月議会の最終日29日、二人目の副市長人事が提案され、可決しました。国から出向中の政策創造担当部長が任命されます。政策創造担当とは、今年度新たに、鎌倉市の喫緊の課題と中長期的な課題解決のために設置された部署で、市長公約のシンクタンクとも言えるものです。国土交通省海事局船舶産業課舟艇室から5月に人事交流の形で就任した部長は、鎌倉に来てわずか5カ月で副市長になられるのです。6月議会のネットの一般質問に、国に帰らなければ退職金がもらえないので、2〜3年で帰ると部長は答えています。今回もこの退職金のことが問題となりました。国家公務員から市職員を経て副市長になり、再び国家公務員に戻る場合の退職金について定める条例を、総務常任委員会で審議しました。

 まず、条例制定の指示が出たのは9月12日ごろで、2週間余りでの緊急提案であることが明らかになりました。緊急に条例を作ってまで、国家公務員を副市長にしなければならない理由については、総務部長すら何も答えられませんでした。市役所内での統制は取れておらず、市長が独断で行なったことは明白です。
また、条例の内容については、国との人事交流であり、いずれは国に帰ることが前提で、帰った場合は市が支払わなくてよいというものです。しかし、裏を返せば、帰らない場合は市が支払うことを認めることになります。国にお帰りいただく確約はなく、条例を簡単に認めるわけにはいきません。「国とは戻る確認を取っている」との答弁がありました。しかしその確認とは、9月29日当日にメールでやり取りしたにすぎず、公式文書ではないことも明らかになりました。文書主義の役所のやり方とは到底思えません。後日、正式文書を取り交わすことにはなりましたが、後付けでは順番が逆です。また、不慮の事故などで帰れない事情が発生した場合は、国での勤務期間も通算して市が支払うことになります。ネットは、条例は不備であることを指摘しましたが、賛成多数で可決してしまいました。この条例は、国からの天下りに道筋を作ることにもなり、地方分権の時代に逆行していると考えます。

 さらに、本会議の市長に対する質疑では、驚くことがわかりました。国交省からは、当初から人事交流は副市長でとの話があったことです。市長は、最初からそのつもりで、とりあえずは自分が設置した部署の部長職に就かせ、時期を見て副市長にするつもりだったのではないかと考えられます。市長は、国との関係を強固にしていく必要があると答えていますが、国交省の役人を選んだ理由は定かではありません。
今後、政策創造担当を含んだ人事の動きについて、見させていただきます。