ネガワットで脱原発

 5月5日、北海道の泊原発が点検のために停止し、日本の原発のすべてが停止し、「稼働原発ゼロ」になりました。危険な原発は再稼働させるべきではありません。原発ゼロでこの夏をどう乗り切るかが課題です。政府はこの夏の節電目標を、関西電力では最高の15%とし、東北と東京電力管内以外で目標を設定しました。さらに関西・北海道・四国・九州電力に計画停電の準備を要請しました。関西電力は原発依存度が高く、最も深刻です。

 企業や家庭が努力して電気の使用を減らせば、同じ分を発電したものとみなす「ネガワット」という考え方で節電を目指す動きが出ています。中部電力が、節電分を市場で売買できる「ネガワット取引」の制度を今夏に試験導入する検討に入ったと報じられました。中電はすでに、ピーク時の電力需要を抑えるため、大量の電力を使う製造業などの大口需要家に対しては、工場の稼働時間をずらしてもらう代わりに電気料金を割り引いています。ネガワット取引を導入することで、スーパーやコンビニなどの小口利用者の需要を抑えるのが狙いということです。

 供給余力がある中部電力が、電力不足の関西電力に電力を融通するために5%節電を求められ、知恵を出していると言うのに、関西電力では大飯原発を再稼働させること以外に特別な動きが見えず、あきれます。

 政府が見直すエネルギー戦略では、省エネの強化が大きな柱になります。夏は刻々と迫っています。私たちは、多くのエネルギーを消費するライフスタイルを見直し、賢く省エネルギーを実践することが大切です。自治体は、喫緊には自らが省エネに取り組むとともに、省エネを実践する市民や事業者を後押しすることが必要です。また、中長期的には、地産地消のエネルギー政策を持つことが求められます。そして、原発ゼロ社会を達成するのです。