飯能市の人権擁護政策は地域福祉課の創設で

成熟した市民社会

 埼玉県飯能市では、平成21年度に地域福祉計画を策定し、22年度に人権擁護について考える中で、具体的に進めるために地域福祉課を創設しました。高齢者、障害者、子どもの虐待、DVなどの問題に総合的に取り組む必要があるからです。特に一人暮らしの高齢者は、振り込め詐欺に騙されたり、高額な商品を買わされる、適切な市民サービスを受けられないなどで、人権を脅かされる心配があります。生活のサポート始め、さまざまな手続き上のサポートも必要になってきます。

 飯能市は、市民後見人の養成講座を段階的に開催する計画で、まず平成23年度は市民への周知も考慮した講演会を開催し、その後養成講座入門編につなぎました。各所管課がさまざまな団体に声掛けし、2日間の講座で57名修了しています。受講者の平均年齢は54.6才で、20歳代の若い人もいたそうです。24年度は基礎編、25年度には実務・研修の実践編と、ステップアップ式で組み立てています。

 かたや司法書士や社会福祉士、医師会、福祉事務所などの有識者による市民後見制度検討委員会で市民後見人が実際に動けるシステム作りを議論しており、今年8月には結果をまとめる方向で取り組んでいます。人材の育成とシステム作りを並行して進め、実践編を経た市民が地域で活躍できるよう、先を見据えて効率的に組み立てられていました。

 また、市社会福祉協議会も、市と連携もしながら独自に後見制度の周知活動を展開しています。

 飯能市長は日ごろから「成熟した市民社会」と言われるそうです。その思いは、高齢化率23.5%の飯能市が地域福祉の視点を持ち、一人一人がその人らしく生きる権利を保障されるまちづくりを目指す実践につながっているのです。鎌倉市の地域つながり推進課も、是非福祉の視点を持って取り組んでほしいと思います。