福島原発と放射線の人体影響

放射線に安全量(しきい値)はない

 連続講座「聞いてほしい放射能の話」を開催しました。7月2日と21日の2回連続で、原子力の市民科学者、故高木仁三郎先生が創設された、高木学校のメンバーである山田千絵さんを講師に迎えました。年齢を問わず40名前後の参加があり、放射能に対する関心が高いことの表れです。人体・環境・暮らしにどのような影響があるのか学習しました。

 特に、食べ物や土ぼこりを吸い込むことによって放射性物質が体に入る内部被曝が心配されます。外部被ばくは線源が体の外にありますが、内部被曝は、線源が体の中にあり、体内に入ったヨウ素・セシウム・ストロンチウム・プルトニウムなどの放射性物質が、体内で放射線を発射し続けます。物理的半減期と有効半減期があり、ヨウ素は8日と7.5日、セシウム137は30.2年と109日、ストロンチウムでは28.9年と18年、プルトニウムに至っては24,100年で生きている間じゅう影響を与え続けます。放射線はDNAを直撃し、傷をつけます。傷の治し間違いが生じ、変異したまま細胞は再生してしまいます。変異が蓄積することにより癌を発症します。当然ですが、子どもは大人より人生が長く、細胞分裂する機会が多いため、細胞の治し間違いも増え、リスクが高くなるということです。また、どんなに少ない線量でもリスクはあり、安全量(しきい値)はないのです。

  また、放射性物質は、人間に必須の栄養素と似かよっているため誤って取り込まれます。ヨウ素・カリウム・カルシウムが欠乏しないように栄養摂取することが大切です。

 拡散した放射能は自然界に降り注ぎました。森林で、海洋で、食物連鎖の中で循環しながら広域に存在し続けます。放射能とは長年付き合わなければならなくなりました。二度と放射能汚染が起きるようなことがあってはなりません。加えて、原発の放射性廃棄物の処理はどうするつもりなのでしょうか。これ以上、始末できない廃棄物を作り続けることはやめるべきです。未来のいのちを守るために。