介護の社会化を後退させない

 今年の街頭活動をスタートしました。今日は、今年4月に改定される介護保険制度について話したところ、多くの方々にニュースを受け取っていただき、関心の高さが伺えます。

 先だって政府は、2015年度予算を閣議決定しました。総額96.3兆円です。防衛費は、2002年度をピークに減少傾向でしたが、安倍政権になって一気に増加に転じ、3年連続の増額で、今回は過去最高の49800億円に上ります。しかし、市民の望みは、オスプレイや戦闘機を増やすことではありません。介護や医療、教育や子ども・子育て支援の充実、安定した就労等、実生活に密着した豊かさを求めています。

 介護保険については、超高齢社会に伴い介護保険給付費が増大し現在10兆円になっています。厚生労働省は、75歳以上が総人口の4分の1になる2025年には、21兆円にまで膨らむと推計し、給付抑制を図ろうとしています。

 今年4月の改定では、要支援12のサービスのうち、デイサービスとホームヘルプサービスを介護給付から外し、総合事業として市町村の裁量で実施する地域支援事業へと段階的に移行させることになりました。鎌倉市の場合は、2017年に移行します。総合事業をボランティアやNPO等が担うこと、高所得者の自己負担割合を1割から2割に増やすことによる財源の抑制策が進められます。

 鎌倉市で、介護認定を受けた65歳以上の一人暮らしは23%で、65歳以上世帯は30.3%あり、半分以上を占めています(23年調査)。在宅で適切なサービスを受けることにより、介護状態の悪化を防ぎ、現状の維持につながっています。要支援1・2を給付から外せば、特に家族がいない場合は認知症の初期症状において、より専門的な支援が必要な高齢者の発見が遅れ、かえって自立を損なう結果につながりかねません。継続的な介護予防ケアマネジメントが必要です。

 介護保険は、いざという時にだれもが使える制度として維持しなければなりません。そのためには、介護予防・生きがい対策は重要です。総合事業をボランティアやNPO等に担ってもらおうとするのなら、育成・支援にも積極的に取り組むとともに、地域の様々な支援主体をコーディネートして効果的に機能させるしくみを整えることが必要です。市民自治・市民協働による地域福祉の充実があってこそ、介護保険の健全な運営につながります。