山ノ内藤源治の斜面地開発

 台峯に連なる山ノ内「藤源治」の緑地が、周辺住民が反対する中、開発業者によって樹木が突然伐採されたのは2011年夏でした。最終的な開発全体の面積は約4000㎡に及びますが、この時点で1000㎡以下の造成計画が出されました。一団の土地を分割して小規模な開発を連続して行う小規模連鎖開発です。最近になって住民の皆さんから「残地の開発に動きがある」という話を伺い、現状調査に開発現場に行ってきました。

 道路が整備され、土地の造成はされていますが、宅地建設には至っていない状況です。改定されたまちづくり条例では、小規模連鎖開発について「先行する開発事業等の完了後2年を経過するまでは、残地の土地利用に関する手続は行えないものとする。」としており、残地開発の手続きはまだ行えないはずですが、職員の説明によれば、条例改正前の開発であるためこの条例は適用されないとのことです。改定前の滑り込みです。

 また、1000㎡以下の3宅地の開発としているものの、実は次の開発に向けて水道管とガス管をすでに設置しており、1000㎡を超える開発行為に至っているとして地域住民は問題視しています。さらに、残地は斜面地であり、盛土をして11宅造成する計画を事業者は示しています。盛土については大規模地震に際しての安全性とともに、擁壁がそびえたち都市緑地としての景観を損ねることが懸念されています。

 車で現地まで行きましたが、開発地に至る道路は、急坂で曲がりくねっており、大変狭く車がすれ違えません。ダンプや重機が往復すれば近隣住民の日々の生活に支障をきたすことになるでしょう。家屋の痛みも危惧されます。実際、近隣のお宅では何か所もひび割れが入り、地盤沈下と思われる現象が発生していました。市民相談課に相談したそうですが、事業者と紛争にならないと受け付けないと言われ、困っていると伺いました。市民に寄り添えない行政の実態があります。

 藤源治の開発は、当初から農地転用や青地の売却、排水等問題点が多くありました。緑地保全のほかにも、地域住民の実生活に関わる課題があります。市は、法に則って開発許可を出し、指導を行っていると言いますが、法律も条例も運用する前提は、住民の立場に立つということです。