米原子力艦船の情報はブラックボックス

神奈川ネット横須賀の企画「原子力防災」の学習会に参加しました。非核市民宣言運動・ヨコスカの新倉裕史さんが講師です。横須賀には、1966年米海軍原子力艦船(潜水艦)スヌークの入港から始まり、2008年9月には原子力空母ジョージ・ワシントンが米海軍横須賀基地に配備されるに至りました。現在は原子力空母ロナルド・レーガンに交代し、横須賀市民は年に300日近く原子炉が身近にある生活をしています。

1963年1月9日、ライシャワー大使が当時の大平正義外相に原潜寄港承諾を申請して以降、7年間で横須賀市だけで115回の反対集会を繰り広げ、延べ70万人が参加し、原潜寄港反対は全国規模に広がっていったそうです。しかし現在は、3.11福島原発事故後の市民アンケートによれば、「原子力空母が横須賀に配備されていることに対する不安は大きくなりましたか」の問いに対し、変わらないとの回答は69.9%、不安は増したとの答えは28.8%にすぎないという結果でした。

米政府は、1964年8月2日に「外国の港における合衆国原子力艦船の運行に関する合衆国政府の声明」を発表し、原子力艦の受け入れ国政府に対し、設計・運行に関する技術上の情報を提供しないこと、情報入手の目的で乗船することを許可しないなどとしました。この声明に50年以上も縛られ、情報が非公開とされていることが、市民の危機意識を低下させているのではないかと危惧します。

ニューヨークにあるショアハム原子力発電所は、稼働しないまま1989年に廃炉が決まったそうです。決め手は、地域住民の反対運動の中で、事故時の推定避難時間を調べた結果、島の先端にいる人達を避難させることができないことが分かったことです。三浦半島の先端で不測の事態が起きれば、逃げる方向は一方しかありません。命を守るために子どもや高齢者にも這ってでも逃げろと言うのか。原子力災害を防ぐには核兵器や原発を廃止すること以外にはありません。