すべての働きたい人を支援するユニバーサル就労

神奈川ネットの就労支援プロジェクトで、富士市のユニバーサル就労推進事業を視察しました。ユニバーサル就労は、障がいや生活困窮・引きこもり等、さまざまな理由で働きたくても働きづらさを抱えている『すべての人』を対象に支援し、仕事に就くことを目標としています。富士市の取組に学ぶものはたくさんありましたが、3つに絞って書き留めたいと思います。

まず第1は、「ユニバーサル就労の推進に関する条例」を議員提案で制定したことです。2014年11月に「ユニバーサル就労を拡げる親の会」が1万9000人の署名を添えて「親も子も安心して暮らせる環境整備」の要望を市に提出しました。これに対して議会の動きは早く、早々に議員連盟を作り、行政も共にユニバーサル就労の検討を始めました。2017年2月に条例制定、4月には施行しました。条例では、ユニバーサル就労の基本理念や市民、事業者および事業者団体の責務などが定められ、市民・行政・議会・事業者が一体となった取り組みが始まりました。

2点目は、ユニバーサル就労支援センターで行っている4事業を一括委託契約していることです。生活困窮者を対象とした既存の就労準備支援事業の幅を様々な就労困難者(ユニバーサル就労対象者)にまで広げ、一人ひとりに合わせたオーダーメイドの支援を行っています。また、多様な働き方を提供できる協力企業等の開拓と業務分解の推進、及び雇用継続に向けた相談や支援も行います。ユニバーサル就労が横ぐしとなり、相談者と企業双方を支援しながらマッチングする事業を一括で進めています。

3点目は、国の交付金メニューを上手く活用していることです。今年10月には、内閣府の「地方創生推進交付金」の交付事業に決まり、制度外の市独自事業の財源を確保しています。市が方針をきちんと持ち、その方針に沿った国庫補助を得てまちづくりを進めている富士市の姿勢は、大変参考になりました。