今回の補正予算には、早期に生ごみを資源化する施設の調査研究をするためとし、視察旅費を含めた予算が計上されました。ところが市長は、「今は生ごみ資源化施設を作るつもりはない」と明言しました。では、何のための視察旅費なのでしょうか。まったく矛盾しています。さらに3月に議会が修正をした、生ごみを資源化するバイオマスエネルギー回収施設建設に向けての予算については、削減も減額も提案されませんでした。当然執行するものと判断したいところですが、市長は言及を避けていることから、市の方針が定まっていないことだけは明らかになりました。このようなことでは、多くの市民に不信感を与えます。
また、40億円もかけて行なう名越クリーンセンター焼却施設の長寿命化工事は、平成24年9月に着工予定です。遅くとも今年度末までには、この先10年を越えるごみ質を保持する計画を立てなければなりません。何より、生ごみの削減量を確定することが必須です。しかし、市長方針のごみ処理計画では、平成25年度に施設建設を含めた計画の見直しをすることになっており、将来のごみ質および量の安定はとても望めず、40億円を無駄にする可能性があります。
生ごみ処理機については、市長方針では今年度の普及目標は1840台です。4〜6月の普及台数は190台で、今後毎月184台がノルマになります。今月目標に満たなければ、来月からはさらに厳しいノルマが課せられます。補正予算では生ごみ処理機の助成についての増額がなく、早々と目標達成を諦めたのかとも思えます。その一方、生ごみ処理機相談員2名分の予算は提案しています。目標に向けての予算は上げず、目標達成のための手段だけは要求するという、矛盾した考えです。また、過去の問い合わせに対しては、窓口対応ですべて解決できており、必要性が認められません。
市民と事業者と行政が参加する鎌倉ごみ行動チームは、その設置目的をごみ減量化資源化に対する市民の気運を盛り上げるためとしていますが、ここでも目標値のみならず、その波及効果さえ全く未知数です。その上、会議の合意形成を図るために、1回の会議に付き16万円も支払い、ファシリテーターを委託することには、費用対効果の上でも、疑問を持たざるを得ず、有効性、効率性のある事業とは認められません。
戸別収集については、排出抑制の視点で、有料化との組み合わせで行なうことは一定の理解はできるものの、有料化の目途をつけることが先です。先の見通しがないまま戸別収集を先行させることは財政的な懸念が残ります。さらに、燃やすごみの4割を占める生ごみの分別・資源化なくして、燃やすごみの減量効果は充分得られないと言わざるを得ません。
ごみの減量化は、引き続き行なうべきことです。しかし、補正予算で提案すべき緊急性が認められません。また、根本的に減量化のために必要な事業であるという根拠に欠ける内容であることから、今回の補正予算に反対しました。
鎌倉市は、5年連続リサイクル率ナンバーワンに輝くなど、市民はこれまでも熱心にごみ減量化に取り組んできました。長年の調査検討では、課題である、焼却炉の一本化のためには、燃やすごみの4割を占める生ごみの減量が不可欠であるとの結論が出ています。バイオマスエネルギー回収施設を作り、生ごみを資源化することが、住民と約束した今泉クリーンセンターでの焼却を確実に止めるとともに、名越クリーンセンターの焼却量を減らすことにつながります。3.11以候、地域でエネルギーを作る時代がきました。バイオマス発電の導入こそ、資源循環型の実践と言えるのではないでしょうか。