湘南の住宅地に実験動物の焼却炉は要らない

武田薬品新研究所で毎日1トンの実験動物が焼却

 武田薬品研究所では、新薬の研究のために毎日約1トンの動物が実験され、殺処分後焼却される予定です。湘南の穏やかな住宅地が揺れています。

 鎌倉市議会では、焼却炉の設置申請を出す前に、住民に説明し理解を得るよう武田薬品に働きかけてほしいという陳情を採択し、市長名で文書を送りました。しかし、近隣住民への説明は行なわれないまま、実験動物焼却炉を設置する届出(ダイオキシン規正法に基づく)は出され、県は3月30日に受理しました。これを受け藤沢市は4月2日に設置申請を許可。焼却炉のことも、武田が行なう動物実験のことさえも知らない住民が実際にはまだまだたくさんいるのが現実です。

 また、実験動物は一般廃棄物であるため、火葬法や化勢場(死亡獣畜取り扱い場)等に関する法律には適応せず、300メートル以内に住宅がないという立地規制は適用できないと鎌倉市では答えています。一般廃棄物なら市の焼却炉で受け入れるのか質したところ、実験動物は感染性があるため受け入れられないと回答しており、整合性がありません。

 茅ヶ崎にある神奈川県衛生研究所や、新宿区の国立感染症研究所、鎌倉市にある中外製薬などでは、実験動物の焼却は専門業者に外部委託しています。「実験動物焼却炉は要らない」と要望することは、決して住民エゴではありません。上記の火葬場が300メートル以内に住宅がないのが立地条件とされるのは、昔から、身体だけではなく精神への影響も考慮した結果だと考えられています。

 実験動物に関する法律は国でも未整備です。私たちはパンドラの箱を開けたとも言えます。藤沢市に建設されるものであっても、空気や水は近隣市に大きな影響があります。国の法律が不十分なら、今直面している現場から解決すべく法整備を先行して行なうなど、早急に手を打ち、藤沢市にも働きかけるべきではないでしょうか。