冷めた選挙結果がもたらすもの

 突然の解散で行なわれた師走の総選挙。争点なき戦いと言われた結果は、過去最低の投票率で与党の圧勝に終わりました。安倍首相は3分の2を上回る326議席を獲得し、一気に改憲に向かうのではないかと大変危惧されます。しかし、自民に投票した有権者の民意は多様で、景気が失速したため消費税増税を先延ばしにした評価と、アベノミクスの今後の効果に期待した人が多かったものの、その他憲法改定や集団的自衛権、原発再稼働等の施策の評価は高くないというマスコミのアンケート結果が出ています。決して「白紙委任ではない」ということです。

 また、子ども子育て支援、介護保険制度、生活困窮者、派遣労働者の問題、社会保障に関する様々な問題が山積しています。600億円を超える経費負担をしてまで政権維持のために無駄な選挙を行っていながら、消費税を上げなければ社会保障に充てるお金がないなどと言うのでしょうか。

 安倍首相の経済政策は、法人税実効税率の引き下げを進め、一方経団連は、加盟する1300企業に対し政治献金を5年ぶりに再開することを明らかにしました。これは、経済再生に名を借り、大企業に有利な政策を推し進めようとする政財界癒着に他なりません。政治資金規正法では、政治家個人への寄付は規制されていますが、政党や政党支部、政治資金団体には企業団体献金を認めており、癒着の構造を放置していること自体に問題があります。

 企業の発展最優先ではなく、無駄をなくし、一人ひとりの生活の豊かさが保障される社会にするのが政治の責任です。