逗子市の中学校給食を試食

 鎌倉市の公立小学校では、自校式で主食とおかずと牛乳がそろった完全給食を提供しています。中学校はミルク給食といって牛乳だけで、基本はお弁当を持参しています。全国的に中学校での完全給食の実施率は8割を超えていますが、神奈川県は25.0%で最下位です。中学校のミルク給食の実施は6.8%でわずかです。学校給食法で規定している目標の第一に「適切な栄養の摂取による健康の保持増進を図ること」とあり、学校の設置者に対して「学校給食実施基準に照らして適切な学校給食の実施に努めるものとする」とされています。

 親の働き方が多様であることや、様々な事情でお弁当を持参できないこともあり、保護者からも希望する声が多く出ています。また、朝ごはんを先生が学校で食べさせているという貧困の課題も抱えています。鎌倉市では、ようやく2017年2学期からの中学校給食開始に向けて準備を始めました。お弁当のデリバリー形式で、市の栄養士が全市統一の献立を作り、9校分3000食程度を調理・配送できる業者に委託する予定です。弁当給食の利用か手作り弁当の持参かは選択制です。まず今年度と来年度で12400万円の予算をかけ、受入室の整備を行うことになっています。

 同様の方式で先行している逗子市に伺って、試食させていただきました。1015日の献立は、ご飯(発芽玄米)と味噌汁、さんまの梅煮・回鍋肉・野菜の辛し和えは三つ仕切りのお弁当箱に詰められ、牛乳もありました。二人の栄養士さんの仕事は、献立を立て食材の調達まで行います。食材は、高知・北海道・鹿児島など全国から産直のルートを設けているそうです。さんまは高知から直送で、夜中から煮込み、骨まで柔らかくなっていました。ワカメは地場でもらってくるとか。野菜を多く使うことや家庭で後回しになるようなメニューを率先して入れているとのことで、熱心さが伝わってきます。申し込みは、在校時一括予約と1か月単位があり、1週間前までに変更可能なシステムを作っています。1食324円です。アレルギー対応は課題で、現段階での対策は、申し込みの参考になるように注文画面に食材の情報を出しています。

 逗子市の給食の利用率は73%で高い。安全でおいしい給食を提供するためには、優れた栄養士を配置することは必須です。また、調理業務委託にあたり、仕様書の中に細かく書き込むことが必要であることを確認できました。大変おいしくいただきました。