松尾市長は「行革元年」の名の下、緑地保全基金への繰り入れはゼロにするなど、今まで積み上げてきた事業の凍結や制度の廃止を打ち出しました。一方、職員の給料である地域手当を引き上げることで、約3700万円もの税金が余計に使われることになっています。市税減収の裏にある市民の痛みを理解しているとは言い難い予算案です。
財政状況が悪化する中、市民が自分たちのまちづくりに主体的に参画できるよう、行政との情報の共有と、協力する関係を築くことが必要です。行政は、市民と協働することでしか、今後の厳しい財政の中で、本当に市民の望むサービスを提供することはできません。しかし、鎌倉市の今の市民協働では、市民の力が生かされているとは言えません。職員の意識改革が必要であり、それが実現してこそ行革元年となるはずです。
また、保育園の待機児童が減らず、高齢化が進む鎌倉で、新たな形の子育て・福祉への取り組みが見えません。さらに、ごみ処理計画の将来ビジョンが見えず、最重要課題である山崎の生ごみ資源化施設に関しては、未だ明確なGOサインが出ていません。武田薬品工業の新研究所に関しては、市と武田薬品の安全協定は締結する予定にはなっているものの、住民も入れての三者協定には、武田薬品に追随し積極的ではありません。また、感染性があるという理由で自治体が拒否する実験動物焼却を住宅密集地で行なうのは問題ですが、この対応にも後ろ向きで、市民の安心安全な生活を守る行政の務めを果たしているとは言えません。
「いのち」に関わる緊急性の高い事業を拡充するために、組織を見直し人件費の縮減などを進めることで「行革元年」と位置づけた今回の予算案には、疑問を持たざるを得ません。