ひきこもり支援

本人にも家族にも緩やかな支援を

 引きこもりの人の数は、内閣府の調査では全国で推計23万人を超え、準ひきこもりを含むと約70万人(15歳から39歳まで)に上ります。当事者の平均年齢は32歳、父親の平均年齢は64歳に達しています。ひきこもりが長期化すれば親も高齢になり、経済的にも逼迫した状況に追い込まれつつある現状です。札幌市で北海道のひきこもり支援に尽力されている「NPO法人レター・ポスト・フレンド相談ネットワーク」の理事長、田中敦さんにお話を聞いてきました。

 ここ10年の間に、30代・40代の人が増え、中には50代の人もいる。全国的に地域若者サポートステーションが設置され、国は今後増設していく方針だが、年齢区分をせず、困った人に対する支援が必要だと話されました。「NPO法人レター・ポスト・フレンド相談ネットワーク」は、若者の範疇に入らない成年・壮年期のひきこもりへの対応に軸足を置いて活動しています。万が一の時でも、食事の支度や金銭の支払いなどの必要最低限の生活力を身につけておくことが必要。生きる意欲や自信は、人との関係性の中で構築されると言われます。35歳以上を対象とした成年期ひきこもりの自助グループ「SANGO(さんご)の会」を立ち上げ、若い世代とは違った成年・壮年期特有の悩みや、今後の生き方などを話し合っています。また、楽しみながらコミュニケーションを深めるレクレーションを取り入れています。コミュニケーションを取る手段は、言葉だけではないのです。トランプなどのゲームや、リズムをきざんだり楽器のセッションなどで、人と合わせることや自分の存在を見つめること、自信回復にもなるのだと思います。

 ひきこもりは、当事者は声を上げにくく、家族も対応がよくわからない現状です。まず、当事者が参加できる環境、悩みを打ち明ける環境を作ることが大切です。そして、ひきこもり者が自信をもって生きていくことのできる、新しい社会のあり方を追求していくことが求められています。