世界遺産の推薦取り下げから鎌倉のまちづくりを考える
5月27日、議会全員協議会が開催され、鎌倉市は世界遺産登録の推薦を一旦取り下げ、再挑戦することを決めたと報告がありました。
国が平成4年に 「古都・鎌倉の寺院・神社ほか」を世界文化遺産暫定リストへ記載したことから始まった道のりでした。現在では108もの団体が鎌倉世界遺産登録推進協議会に加わっています。熱心な市民がいる一方、大きな経費を使っていることを指摘する声も上がっています。
平成8年度から平成23年度までの16年間で使った経費は、総額4億8700万円になります。国・県からの補助金が約1億7900万円ありましたが、人件費は含まれていません。今年度は、文化財課を兼務している部長のほか、次長2名含めて担当職員を8名配属しています。また、ガイダンスセンターとして取得した扇ガ谷の土地建物について、今後の対応は不透明になりました。
しかし、たとえ世界遺産登録が可能とならなくても、鎌倉のまちづくりは進めていかなければなりません。人の住いと歴史遺産が近接して存在しているところが鎌倉の魅力であると思います。顕著な物証としての遺産ではなくても、例えば、鎌倉幕府の遺構が眠っている土地に思いを馳せ、周辺を保存し、まち全体の豊かな緑を守るといったスタンスを示すことが大切なのではないでしょうか。そして、市民も行政に求めるだけではなく、一緒に解決策を模索できる関係を築くことが必要だと思います。