河野太郎氏「新たなエネルギー基本計画素案」に提言

神奈川ネットワーク運動の30 周年記念企画として、3月2日、自民党衆議院議員の河野太郎さんに「新たなエネルギー基本計画への提言」と題して講演をお願いしました。

 国は、新たなエネルギー基本計画案で、原発を「重要なベースロード電源」と位置づけました。これに対して河野さんから、脱原発に向けてエネルギー基本計画の肝は3つで、

①原発の新増設をしない

②使用済み核燃料の再処理を続けない

③省エネ・再エネの目標を決める

との提示がありました。

 河野さんの話を整理し、再度原発のことを考えてみました。青森県六ヶ所村の核燃料再処理工場は、原発から出る使用済み核燃料の中から、プルトニウム(長崎原爆の原料)を取り出すための工場です。取り出したプルトニウムを高速増殖炉もんじゅで燃やすとプルトニウムが1.2倍になり、最初だけウランを輸入すれば、あとは核燃料をぐるぐる回して使えるという「核燃料サイクル計画」が日本では進められてきました。

 国は、立地自治体には「核のごみは心配ない。ある程度冷やしたら6か所村に持っていく。原発の敷地には残らないので大丈夫。」と言ってきました。一方青森県は、運び込みを認めたものの、必ず再処理工場を動かすという条件を付けました。そうしなければ、使用済み核燃料はごみとして青森県に貯められる恐れがあるからです。国は、核のごみをどこかに持ち出さなければならなくなるため、再処理工場を動かすと言い続けなければならないという悪循環です。また、電力会社は、使用済み核燃料は資産価値があるとしており、処理をやめた途端にただのごみになってしまうため、再処理を止めると言えないのです。

 現在日本は、プルトニウムを45トンも保有しています。使用済み核燃料は、再処理が進んでいる英・仏に処理をお願いし、国内には10トンは戻ってきています。これは、核兵器1000 発分以上だそうですが、そのプルトニウムを燃料とする高速増殖炉もんじゅは、1995年にナトリウム漏れの大事故を起こし、いまだに停止中です(年間200億円を使って止めている)。そこで次は、普通の原発でプルトニウムを利用するプルサーマルが計画されましたが、ウランを燃料とする原発で、プルトニウムを利用する危険性への不安などから、反対の声が強く計画はストップしています。再処理も高速増殖炉も失敗し、結局使用済み核燃料は、全国各地の原発地のプールの中で眠っています。貯めておくプールが充分ではないため、原発の新増設どころか再稼働も考えにくい状況です。

 原発を重要なベースロード電源としている政府は、最終処分を明確にしていません。行き場がない核のごみはどこかに埋められ、未来の子どもたちに恐ろしい負の遺産として残される恐れがあります。「いつ脱原発にするのか、今決めるべき」と小泉元首相が主張する通り、脱原発に向けて政治の決断が求められます。