鎌倉市ごみの有料化条例の問題点
今回提案されている家庭系ごみの有料化に関する条例は、市民にごみ処理の手数料をお支払いいただくためのものです。市は、市民への説明会では、「燃やすごみ」と「燃えないごみ」を有料化すると説明していますが、燃やすごみとは何を指しているのでしょうか。
例えば、プラスチックのバケツや洗面器・植木鉢・クリーニングの袋等の製品プラスチックが入る場合と入らない場合とでは、ごみの量は相当異なります。製品プラスチックは、今は燃やすごみの中に含まれていますが、「第2次鎌倉市一般廃棄物処理基本計画 ごみ処理基本計画(中間見直し)再構築」では、資源化の方針で、平成26年度に資源化量を440t見込んでいることが明記されています。しかし、実際は資源化の見通しは立っておらず、平成26年度の予算もついていない状況です。燃やすごみとして出す場合は有料であり、資源化を目指すごみ処理基本計画と齟齬ができてしまいます。計画に反した有料化になるため、規則を作って明示しておくか計画を変更する必要がありました。
このように現行のごみ処理基本計画は未だ定まらず、これまでも二転三転してきています。顧問弁護士の見解に、「規則案がある方が望ましいが、これから作成するにしても、これまで市が示してきた内容を変更することは政治的にできないのではないか」とありました。これは、議会が変更できないという意味で言われているかもしれませんが、議会ではなく行政自ら変更してしまう恐れがあるから、議会として牽制する必要があるのです。通常、行政が決めたことを自ら変更するなどということはあり得ないことですが、鎌倉市の場合は、計画をたびたび変更していることから、市民は疑心暗鬼になっており、議会のチェック機能を高める必要があると考えています。
この条例の規則案の制定権は市長にありますが、規則を白紙のまま市長に委ねることはできません。現行のごみ処理基本計画のように、議会が反対しても、市長の一存で有料化の品目を決めることができてしまうという、民主主義から逸脱した条例になる恐れがあります。市民が、知らない間に行政の失敗のつけを被るという事態もあり得ます。市民から手数料をいただく条例を作る際に、拠り所となる計画が不安定で変更の予見性がある中、詳細の規則ができていなくてもいいのか、あるいは、できていなくても説明しておけば議決後に作ればいいということが許されるのか、重大な問題です。