マイナンバー制度のここが問題!

 神奈川ネット鎌倉主催で、「マイナンバー制度のここが問題」学習会を開催しました。講師は、日本弁護士連合会の情報問題対策委員会委員の清水勉弁護士です。

 今年10月に、市町村から住民票の登録がある全住民に紙ベースの12ケタの番号通知が届くことになっています。まずは、納税者番号としてスタートさせ、企業・事業者は税務署への提出書類にマイナンバーを使うため、働いている人は勤務先の経理担当者に番号を知らせることになります。契約社員、パート、アルバイトも例外ではありません。しかし、セキュリティー含め事業者側の対策が進んでいないのが現状です。

 住基ネットは、行政の中のしくみで、利用を法律と条例で規制することができました。しかし、マイナンバーは企業も使うもので、民間への規制はできず、個人情報の管理が徹底できるのか疑問です。情報漏洩には罰則が科せられるものの、情報を名寄せしてデータベース化し売買される懸念は払拭できません。

 問題がある中、政府は、預貯金にも番号をふる考えで、521日の衆議院本会議で、2018年からマイナンバーを預金口座にも適用する番号法改正案が可決し、参議院に送られました。当初は口座保有者の任意としていますが、2021年以降は義務化される可能性もあります。預金者への確認作業など膨大な経費がかかります。その経費はどこが出すのか、預金者の財産を使うことは論外です。任意にとどめるべきで、義務化するのなら経費負担は国がしなければならないと考えます。

 マイナンバー制度は問題が多く中止が賢明と思いますが、自治体の自治事務として10月施行、来年1月から運用開始が決まっています。清水弁護士は、運用開始に向けてプライバシー保護のためのしくみが必要で、第3者機関として独立性を確保した個人情報保護委員会を設置する必要性があり、自治体においても利用には慎重を期し、プライバシーの影響評価制度でチェックする必要があると強調されました。行政の事務作業の簡素化どころか、利用拡大が進むほど継続的に支出がかさみ、行財政改革に役立つとは言えず、自治体にとってのメリットは見出せません。