生活困窮者支援から見えてきた8050問題

 今年4月に生活困窮者自立支援法が施行されました。鎌倉市では必須事業の自立相談支援事業を「インクル―ジョンネットかながわ」に委託し、大船に事務所を設け相談に応じています。インクルかながわは、県内で様々な困難を抱える人たちを支援してきたNPO等が集まっている団体で、当事者に寄り添った支援に期待ができます。

 事業が始まって5か月、鎌倉市の特徴は中高年の相談が多く、生活費や住いの問題、病気、健康、就労等多様です。老老介護や子どもの貧困の問題もあります。また、高齢者が同居の親族の将来を心配するケースも。親が元気なうちは年金収入で暮らせますが、介護が必要になったり亡くなることも予測できる80歳を越える時、50歳の子どもの生活が心配される「8050問題」として、深刻に受け止めなければならない課題と考えます。

 ひきこもりの長期化は、「8050問題」につながります。2010年内閣府の調査では、15歳から39歳までの全国のひきこもりは70万人と推計されました。働くことに悩む若者の相談機関である湘南横浜若者サポートステーションが2010年に大船に開設され、市内の相談者はこれまでに177人になりました。しかし、前回の国勢調査の結果では、この年齢での無業者は市内に547人あり、裕福な親の元で表面化しない、働いていない若者の実態が読み取れます。

 放置すれば、ひきこもり⇒生活困窮⇒生活保護に進むことは目に見えています。まずは気軽に相談できることを伝え、さらにインクルかながわや若者サポートステーションでの相談から発展し、若いうちに就労に向けての生活支援等の準備、就労体験ができる事業者の開拓、中間的就労の位置づけ等、柔軟に働く環境を多方面から整えることが急がれます。