介護保険の後退を許すな

介護保険制度は、2015年4月に改訂が行われ、予防給付である要支援1・2のヘルパーの「訪問介護」と、デイサービスの「通所介護」を、全国一律の介護保険の給付から外し、介護予防・日常生活支援総合事業として市が独自に行うことになりました。

国は、この総合事業を従来通り専門の介護員によるサービスと、新たに基準を緩和した人員配置の事業所や地域のボランティア等による「多様なサービス」を打ち出しています。要するに、給付抑制策をとったわけです。鎌倉市は、2017年4月から1年かけて総合事業へ移行する予定で、今年度中に具体的な形を決めるとしています。

多くの自治体が総合事業の構築すらまだ整っていない現状で、2018年には次の改定が迫っており、さらなる給付抑制策が検討されています。予想される抑制策は、要支援1・2に加え、要介護1・2まで介護保険の給付から外す。具体的には、生活援助や福祉用具・住宅改修は自己負担と言われています。さらに、ケアプランの作成は有料化、サービス利用料は一律2割負担等の検討が始まっています。参議院選挙後に、本格的な議論が進みそうです。真っ当な議論ができる議員が必要です。

40歳以上は、介護保険法に基づいて保険料を支払っていますが、介護度が重度でなければ保険が利用できない制度になりつつあります。介護の社会化の後退どころか、保険としてのあり様そのものが問われる大問題です。給付抑制により、介護状態の悪化を招くこと、家族の介護負担増、介護離職の増加等が懸念されます。1億総活躍社会とは程遠い現実が迫っています。

これ以上、介護の社会化を後退させてはなりません。神奈川ネットでは、介護保険制度の次期改定に向けて、介護保険の給付から「要介護1・2」を外さないことを求める署名活動を行っています。介護の現場のリアルな声を届けなければならないと思います。