生活保護窓口を封鎖した鎌倉市の実態
厚生労働省は、生活保護受給世帯は、6月時点で全国で160万4414世帯(前月比1321世帯増)となり、過去最多となったと発表しました。神奈川県においても、11万5228世帯で、10年前の1.8倍になっています。鎌倉市の場合は、10年前の1.3倍程度で、一貫して微増傾向です。相談数に至っては5年前から年々激減しているという不思議な現象が起きています。一方、就学援助金の認定者及び支給額は1.9倍に跳ね上がっています。
鎌倉市は、生活保護の窓口を2012年4月から2年間にわたり封鎖していました。相談に来た市民があきらめて帰った可能性は否定できません。加えて、もっと根本的なところに問題がありました。
生活保護受給者の8割は、何らかの医療を受けている状態であり、保護の開始理由で最大なものは「疾病」です。相談者も健康状態が良好ではない場合が多く、速やかに申請手続きを進めなければ、命に係わる場合もあります。ところが鎌倉市の対応は、体調を気遣うこともせず、ハローワークに行くことを促し、働けないのなら病院で働けない証明をもらってくるよう求めるなど、申請権の侵害としか思えません。決算委員会で指摘したところ、担当課長は不適切な対応を認め、部長は改善を約束しました。生活保護は、基本的人権である生存権を保障するための重要な制度です。相談者に寄り添った対応が求められます。
2015年4月からは生活困窮者自立支援法が施行予定です。生活保護に至る前の段階で自立を支援する「第2のセーフティーネット」と期待されています。生活困窮者を作らない社会に変えていくために、ネット鎌倉は、就労困難な若者支援に着目し、関連団体と連携しながら中間的就労の制度実現に向けて取り組みを進めます。